看板の文字だけで店格が伝わります。
「身なりは人を表す」ということわざがありますが、お店も同じです。
お店の外装や看板から、様々な情報を人々は瞬時に感じ取ります。
「何の店か」だけでなく、
安い店か、高級な店かとか、
大衆的な店か、ゆったりと落ち着ける店かとか、
どこにでもあるような店か、個性の輝く特別な店かなど。
言葉だけで伝えることのできる情報もありますが、
言葉では伝えられない情報もあります。
言葉で伝えられない情報は人の五感や直感に届く空気感のようなもので訴える必要があります。
味わい、風情、風格、品格などがそうです。
それらは、規格品やデジタルなものでは表現できません。
発信者自らの情熱やエネルギー、こだわり感を込めることができないからです。
人の手を使って、全力で思いを吹き込む必要があります。
看板の世界では、デジタル化と技術革新で高度な表現が簡単できるようになりました。
確かに、見た目だけは今までにないすごい表現が次々と登場してきました。
しかし、人の目に止まるものは少なく、すぐ飽きられていくのが現状です。
簡単にできて量産できるので、街に氾濫して人が反応しなくなって、
看板の効き目が近年大きく低下しています。
手づくりで、世界でひとつしかない立体筆文字看板。
私たちは、デジタルを否定するものではありません。
大手企業やチェーン店などでは、画一性や効率性を重視するので、
標準化、機械化というニーズに応えるためにはデジタル化は避けられません。
この「こけら」という立体筆文字は完全手づくりなので、
全く同じものは二度とつくれません。
ひとつひとつがアート作品です。
つくり手によっても違いますし、つくる度に微妙に違います。
ひとつひとつにつくり手の思いと熱が込められるので、
作品からほとばしるエネルギーは半端ではありません。
店に対する思いやこだわりを客に伝えたい、
デジタルな看板では伝えきれない
という特別な強い思いの店主のためだけに
私たちは立体筆文字を作り続けています。