ごもっともです。

弊社も、つい最近までレリーフには目もくれず立体造形の制作が中心でした。しかし、この数年で立体造形からレリーフに完全に移行してきました。

立体造形に比べ多くのメリットがあるはずのレリーフが普及しなかったのは、どうも次のような原因が背景のようです。

・レリーフは立体的でありながら彫刻の範ちゅうではなく絵画の表現手法のひとつ。しかし、絵画の世界の人はあまりレリーフには関心を持たないこと。
・彫刻出身の造形家たちは、自分たちの分野ではないレリーフをつくることに消極的だったこと。

絵画と彫刻は同じ美術の分野ですが、全く異なる人種といってもいいほど志向が異なります。絵画出身の人は彫刻の世界には興味を持ちませんし、彫刻出身の人は絵画には興味を持ちません。水と油のような不思議な関係です。つまり、レリーフは絵画と彫刻の間にあり、どちらにとっても主流から外れているということ。

従来、レリーフに取り組んできたのは美術系の人ではなく、銅版レリーフや陶板レリーフといった工芸系の人でした。壁画会社も造形会社もほとんど取り組んでこなかった分野なのです。

それが、近年新しい材料が登場したことで、ようやく弊社もレリーフの制作に取り組み始めました。実際、レリーフに取り組んでみると、彫刻系の人よりも絵画系の人に向いていることがわかってきました。レリーフは立体的でありながら限りなく絵画的なのです。

とはいえ、国内ではレリーフに取り組む企業はまだほとんどありません。壁画より存在感があり、「立体造形よりコストも安く」「取り付け場所を選ばず」「施工もいたって簡単な」レリーフの普及に今後も全力を尽くしていきます。