Before
After
看板をやめて壁画だけにしたことが功を奏した!
目立つ看板はどこにもなく、入口の小さな下げ看板だけの動物病院。
それがねらいでした。
文字はなかなか読んでくれない。
壁一面に描かれた壁絵(壁画)だけで、何の店かを想像させる。
看板が見当たらないので「何の店だろう」と気になってしょうがない。
気になるから、あちこちで話題にあがる。
ねらいは的中でした。
開店して、8ヶ月後にオーナーが菓子折を持ってお礼に来られました。
街道筋では知らない人はいないくらいこのワンちゃんの壁画が知れ渡り、
経営も予想以上に早く軌道に乗ったということでした。
2年後には手狭になってすぐ近くの大きな場所に移転されました。
その時、本来なら壁画を消して原状復帰しなければならなかったのですが、
この壁画が地域の名所になってしまったということで、
次のテナントさんが入店した後もこの壁画は消さないで残すことになりました。
この仕事をして最高のよろこびでした。
【壁画の解説】
最初のデザインは、ワンちゃんが骨折して手に包帯をしている姿でした。
現場に下見に行って、ワンちゃんの耳がどうしても2Fの浴室のルーバー窓に当たってしまうことがわかり、
苦肉の策でルーバー窓をバンドエイドに見立てることにしました。
口に体温計をくわえさせたことでこの院長のほのぼのとした温かい人柄も伝えることができました。
建物が小さいのに絵を大きく見せるために、背景の空も絵に取り込むことにしました。
空に浮かぶ大きな気球にゴンドラがぶら下がっています。
出窓をゴンドラに見立てました。
院長にお願いして出窓にはネコのぬいぐるみを置いてもらうことにしました。
バンドエイドを貼って体温計をくわえていいるワンちゃんと気球に乗っているネコ。
本来壁画の障害物を逆手にとって壁画に取り込み、背景の空も壁画とつなげたことで
世界でこの建物にしか描けない壁画が実現し、院長の人柄がにじみ出る物語空間が登場しました。
この壁画が地域の人々から愛されたのは、この街の風景を生かし、溶け込み、
この街ならではのほのぼの空間になって皆さんから好感を持っていただけたからだと思います。
(感動空間プロデューサー 奥村 昇)